Esben Klint
1934年19歳のエスベン・クリントは、ブロンズメダルを獲得する優秀な成績で、家具職人の資格を所得すると共に、その翌年にはコペンハーゲンの建築技術スクール(bygmesterskolen)を卒業します。その後王立芸術アカデミーに1年在籍した後、多くの有名デザイナーの元で、父であるコーア・クリントが設計を担当したベツレヘム教会(Betlehemskirken、コペンハーゲン)や、モーエンス・コッホが家具と内装を手掛けたスキーヴェ・ホスピタル(Skive Sygehus)などのプロジェクトに携わります。スウェーデンの建築家E.Gアスプルンドとは、カールスハムン市の学校に使用する、造作家具デザインにおいて共に仕事をしています。オランダ、アイントフォーヘンに本社を置く電気機器メーカー、フィリップス社など、インダストリアルデザインの分野でもデザインの実績があります。また良き友人でもあったボーエ・モーエンセンとは、学校用の木製家具をデザインしています。1948年にデンマーク建築家協会(Akademisk Arkitektforening)の会員となり、1950年には同協会の理事会として名を連ねています。
エスベン・クリントは、デンマーク国内のみならず、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、ベルギー、スイス、ポーランド、そして旧ソビエト連邦などを建築の視察を目的に旅し、数多くの創作インスピーレーションを得ています。デンマーク国内にあるユトランド半島の西海岸南ユトランドには、子供時代幾度も訪問しています。
1954年、エスベン・クリントは自身の事務所を開設。この事務所を拠点に、デンマーク、オーベンローの聖ニコライ教会(Skt. Nikolaj Kirke)、スナボーのクリスチャンス教会(Christianskirken)など、父コーア・クリントが遺したプロジェクトを数多く引き継いでいきます。祖父P.V クリント・イェンセンが1921年に設計し、父コーア・クリントが引き継いだコペンハーゲンにある教会の一つであるグルントビィース教会(Grundtvigs Kirke)の完成にも携わり、親子三世代に渡ってこの教会を創り上げました。今日、グルントビィークス教会は、その荘厳で独創的な建築から、コペンハーゲンを代表する建造物としても広く知られています。エスベン・クリントは、自身の事務所でプロジェクトに携わる一方、1960年から国家の重要な建築物を管理する、王立建築検査官だった建築家ニルス・コッペルの事務所にフルタイムで勤務し、国教会や宮廷の管理や修復にも携わりました。
勤勉な性格で綿密な準備のもとに仕事をし、完璧主義者でもあったエスベン・クリントは、どのプロジェクトでも手を抜くことはなかったといいます。当時を代表する著名な建築家やデザイナーと仕事を共にしてきたエスベン・クリントですが、協会の内装、照明器具、家具のデザインを中心にその仕事には、父コーア・クリントの影響が散見されます。シャルロッテンボウー宮殿で開催される春の展示会(Charlottenborgs Forårsudstillinger)への出展をはじめ、フレデリシアで開催されていた家具職人ギルド展にもボーエ・モーエンセンと共に家具を出展するなど、展示会でも広く活躍をしました。。1969年病気が原因で54歳という年齢で他界しました。
Featured designs by ESBEN KLINT
カール・ハンセン&サンの製品を選ぶことは、単に家具を買うことと同義ではありません。それは、美しく磨き抜かれたクラフトマンシップの長く誇り高い伝統の一部になることなのです。私たちはハンス J. ウェグナーのデザインを世界で最も多く製作する家具メーカーであるとともに、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャー、コーア・クリント、ポール・ケアホルム、ボディル・ケア、安藤忠雄など、名だたる家具デザインの巨匠たちの作品も製作しています。100年以上にわたる豊かな歴史を誇るカール・ハンセン&サンは、デンマークデザインを代表する家具を世界中で販売しています。