Intelligent Design Brad Ascalon on solutions to the demands of modern life
カール・ハンセン&サンから新作、プレルディアシリーズを発表した米国人デザイナー ブラッド・アスカロン。自身のデザイン手法、そしてデニッシュモダンへの敬意について語ってくれました。
プレルディアシリーズは、モダン空間に求められる用途と機能、そして時代に左右されないタイムレスな美しさと質をバランスよく追求した家具シリーズ。アスカロンによれば、そのコンセプトの中核と成したのは、実際に製品を使用するユーザー。オフィス、住宅をはじめ、くつろぎが求められる多様な空間で使用できるシリーズが追求されました。
「長時間に渡り心地よく座ることができるよう、体をきちんと支える形状とプロポーションが考慮されています。同時に軽量かつ高い耐久性を誇ります。質の高さとサスティナビリティーを配慮した木材を使用していることは言うまでもありません。椅子の軽量さに加え、スタッキングできることが、オフィスや公共の場でよりフレキシブルに使用することを可能にしています。」
コーア・クリントを先駆者とする、20世紀を代表するデニッシュモダンのデザイナーたちは、デザインする上で人間と機能を中核に置いています。同様にアスカロンも、誰のために、そして何のためにデザインするのかがデザインの出発点としています。「クライアント、ユーザー、使用される環境と、関係するすべての事項が、プロジェクトを進める上で必要な、あらゆる情報をもたらしてくれます。こうした事項をすべて把握したと判断した段階で、素材、フォルム、製造方法とアイデアを形にしていく作業に入ります。私にとってデザインするということは、事項を一つ一つを決定していくという作業です。これを繰り返すことによって、私たちの描くビジョンが明確にそして美しく形になっていきます。」
では、シンプルで合理的な意匠を好むアスカロンが何故、詩的で表現性にこだわった家具をデザインをするのでしょうか。
「表現性というものは、合理的な考え方から生まれるものだと私は思っています。複雑に考えることから生まれるのではなく、何らかの理由があって生まれるものなのです。また簡素化するというプロセスはデザインする上で最も至難な作業です。多くの人間は製品のもつ独特の持ち味、ニュアンスというものを自身の本質的なレベルで感じ取るものだと思っています。」
合理性と詩的な表現、そのバランスを絶妙に見極める、アスカロンの信念と知識。これは、情熱を傾ける音楽と関係あるのかもしれません。アスカロンは、作曲と家具デザインに多くの共通性を見出しています。
「創造作業というものは、その分野の違いにかかわらず共通しています。さまざまな感覚を通して感じたものを形にしていく作業です。そしてツールが必要です。音楽では楽器、絵画では絵の具、料理では食材を操らなければなりません。デザインでは素材です。さらにほかのエレメントが追加されます。例えばボリュームやテンポ、配色や筆遣い、火加減や調理方法、デザインではフォルムや製作方法といった具合です。そして私たちが追い求めるモノが完成する時が来ます。必要とされるすべての要素が完璧に調和することを願い、自分たちが築き上げてきた知識と技術をフルに活用し、やるべきことをやった結果です。」と、アスカロンはデザインのプロセスを説明します。
カール・ハンセン&サンの製品を選ぶことは、単に家具を買うことと同義ではありません。それは、美しく磨き抜かれたクラフトマンシップの長く誇り高い伝統の一部になることなのです。私たちはハンス J. ウェグナーのデザインを世界で最も多く製作する家具メーカーであるとともに、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャー、コーア・クリント、ポール・ケアホルム、ボディル・ケア、安藤忠雄など、名だたる家具デザインの巨匠たちの作品も製作しています。100年以上にわたる豊かな歴史を誇るカール・ハンセン&サンは、デンマークデザインを代表する家具を世界中で販売しています。